82回目 気化熱・治療応用へ
82回目 気化熱・治療応用へ
環境における「気化熱」原理を治療に展開する
東洋医学では、「夏は気が浮き。逆に冬は気がしずむ」といっている。言葉として何となく理解はできるのだが、浅くなるとは何なのか/深くなるとは何なのか。やや分かりずらい。
下の「→」は体温域の上昇/負荷圧の下降をしめしている。
*体温域:恒常性維持機能内での体温の上昇/下降範囲→揺らぎの範囲内。
夏 夏
体温域:高い 負荷圧:軽い
体温域↑/↓ 負荷圧↑/↓
冬 冬
負荷圧:重い 体温域:低い
・体温域:↑(高い)/↓(低い)。
・負荷圧:↑(軽い)/↓(重い)。
体温域は夏で上昇。冬で下降する。一方、定位安定状態における負荷圧は夏で軽く。冬で重くなる。一見矛盾とおもわれる体温域/負荷圧の変化。治療の本質がここに現れる。
説明に少し回り道をする
日本には古くから「打ち水」という、冷をとる方法がある。夏の暑い日、玄関/庭/軒先などに水をまく。その水が蒸発する際、環境から熱を奪って蒸発する。結果、冷をとれるという。化学の方ではこの現象を「気化熱」として説明している。
打ち水/気化熱の原理で治療を考える
夏では本来、治療対象部の温度(体温)は下がりやすい。水分蒸発が冬にくらべ多いからだ。
治療とは
身体のエントロピーを減少させ、温度(体温)下降/水分蒸発過程をさらに促進すること。
その減少分は負荷圧に換算して4gぐらいまで軽くなる。この4gを、東洋医学では「夏は気が浮く」と表現しているようだ。
治療対象部の温度(体温)の下降傾向は、「本日の治療」終結に向かう1つの目あすにもなる。